はじめに
簿記3級は、よく「比較的取りやすい資格」と言われます。
独学で合格している人も多いですし、初心者向けの資格として紹介されることもあります。
でも、私自身の本音を言うと、こうです。
簿記3級、普通に難しかったです。
私はこれまでに、宅建、FP2級、社労士などの資格を、働きながら取ってきました。
だから正直、簿記3級を受けようと思ったとき、心のどこかで少しなめていました。
「3級やし、まあ何とかなるやろ」
そう思っていました。
でも結果は、全然甘くありませんでした。
私は簿記3級に3回落ちました。
合格までにかかった勉強時間は、約190時間です。
最終的には4回目で合格しましたが、ここまで苦戦するとは本当に思っていませんでした。
ただ、この経験で私がいちばん強く感じたのは、
「簿記3級は難しかった」
ということだけではありません。
もっと大きかったのは、
人には向き不向きがある。
そして、向いているか向いていないかで、人の価値は決まらない。
ということでした。
難しい資格に受かったから偉い。
簡単と言われる資格で苦戦したからダメ。
いい仕事をしているから上。
社長だから偉い。
現場の仕事だから下。
そういう話ではないと思うんです。
人には、それぞれ合う場所があります。
得意なことも、苦手なこともあります。
うまく力を出せる分野もあれば、どうしても噛み合わない分野もあります。
簿記3級で3回落ちたことは、私にとってただの失敗談ではありませんでした。
それは、資格や仕事や肩書きだけで、人を一つの物差しで測ることの危うさを考えるきっかけになりました。
私は簿記3級に3回落ちました
まず、結果から書きます。
私の簿記3級の受験結果は、こんな感じでした。
1回目。
約80時間勉強して、36点。
2回目。
通算約130時間勉強して、68点。
3回目。
通算約160時間を超えて、62点。
4回目。
約190時間かけて、ようやく81点で合格。
簿記3級は70点以上で合格です。
つまり私は、1回目は完全に大敗。
2回目はあと2点。
3回目は点数が下がる。
そして4回目で、ようやく合格しました。
かなり遠回りしました。
特にきつかったのは、2回目の68点です。
36点で落ちたときは、まだ諦めがつきました。
「これは完全に実力不足やな」
そう思えたからです。
でも68点は違いました。
「あと2点」
この言葉が、かなり重かったです。
もう少しで受かっていた。
でも、受かっていない。
その差がものすごくしんどいんです。
私は宅建でも、過去に1点差で落ちたことがあります。
そのときの嫌な感覚が、また戻ってきました。
「またこれか」
正直、かなり落ち込みました。
社労士に合格した人間が、簿記3級で3回落ちる。
自分でも最初は意味がわかりませんでした。
でも今なら、少しだけわかります。
資格には、単純な難易度だけでは測れない相性があります。
社労士に受かっても、簿記3級は簡単ではなかった
私は、社労士に合格したことがあります。
だからといって、自分が特別に頭がいいとか、何でもできる人間だとは思っていません。
ただ、簿記3級を受ける前の私は、どこかで過去の成功体験を引きずっていました。
宅建も取った。
FP2級も取った。
社労士にも受かった。
だから簿記3級も、やれば何とかなるだろう。
そう思っていました。
でも、実際は全然違いました。
社労士の勉強と簿記の勉強は、しんどさの種類がまったく違いました。
社労士は、範囲が広いです。
覚える量も多いです。
法律や制度の理解も必要です。
でも私にとっては、まだ戦い方が見えました。
文章を読む。
制度の意味を理解する。
過去問を解く。
間違えたところを覚え直す。
しんどくても、積み上げ方が見えたんです。
でも簿記は違いました。
仕訳を切る。
勘定科目を判断する。
貸借を合わせる。
数字の流れを追う。
損益計算書や貸借対照表につなげる。
この**「数字を処理して、流れとして整理する感覚」**が、私はかなり苦手でした。
見ているとわかった気になる。
でも、自分で解こうとすると止まる。
数字が合わない。
どこで間違えたのかもわからない。
この感覚が、本当にしんどかったです。
社労士に受かったから、簿記3級が簡単になるわけではありませんでした。
ここで私は、自分の中にあった思い込みを壊されました。
難しい資格に受かった人間が、簡単と言われる資格で苦戦することもある。
それは、恥ずかしいことではなく、ただ向き不向きの問題でもあるのだと思います。
スマホ学習だけでいけると思っていた
私の勉強スタイルは、ずっとスマホやタブレット中心です。
机に向かってノートを広げる。
ペンを持って手を動かす。
問題集を何周もする。
そういう王道の勉強が、私はあまり得意ではありません。
だから、これまでの資格も、基本的にはスマホやタブレットを使って勉強してきました。
動画を見る。
アプリで問題を解く。
スキマ時間に進める。
通勤時間や休憩時間に知識を入れる。
そういうやり方です。
それで実際に結果も出してきました。
だから自分の中では、それが
「自分なりの戦い方」
でした。
簿記3級も、最初は同じやり方でいけると思っていました。
でも、これがかなり甘かったです。
第1問の仕訳あたりは、動画を見ていると何となくわかった気になります。
でも、第2問、第3問になると、一気にしんどくなりました。
勘定記入。
補助簿。
精算表。
損益計算書。
貸借対照表。
このあたりは、画面で見ているだけではなかなか身につきません。
動画では理解できたつもりでも、いざ自分で解こうとすると手が止まる。
簿記は、見て理解するだけでは足りませんでした。
自分で手を動かして、数字を追って、間違えて、直して、ようやく少しずつ身につく試験だったんだと思います。
でも当時の私は、そこを甘く見ていました。
動画を見て、わかった気になる。
問題を少し解いて、何となくできた気になる。
でも、本番で少し形を変えられると止まる。
その繰り返しでした。
勉強しているつもりではありました。
でも、点数に変わる勉強には、まだなっていなかったのだと思います。
36点、68点、62点。そして81点
1回目の受験は、約80時間勉強したあとでした。
受験方式はCBT(パソコンで受ける試験方式)です。
パソコンで問題を開いた瞬間、嫌な予感がしました。
最初の仕訳から怪しい。
見たことがない。
いや、正確には**「見たことがあるつもりだっただけ」**でした。
私はYouTube(動画サイト)も、特定のチャンネルばかり見ていました。
そのため、知識がかなり偏っていたんだと思います。
問題の出され方が少し変わるだけで、急に対応できなくなる。
本番の私は、完全にその状態でした。
結果は、36点。
70点合格の試験で36点です。
惜しいどころではありません。
完全に実力不足でした。
このときようやく、
「簿記3級は、片手間で取れる資格ではない」
と理解しました。
2回目は、スタディング(オンライン資格講座)を使って、もう一度勉強し直しました。
通算130時間ほど勉強して受けた結果は、68点。
あと2点でした。
この68点は、かなりきつかったです。
大敗なら、まだ諦めがつきます。
でも、あと2点だと、
「もう少しで受かっていた」
という気持ちが残ります。
それが本当にしんどい。
ただ、今振り返ると、この時点でもまだ中途半端でした。
勉強は相変わらずスマホとタブレット中心。
しかも、電卓にもあまり慣れていませんでした。
簿記を受けるのに、電卓に慣れていない。
今考えると、かなり無茶です。
3回目は、またYouTube中心の勉強に戻って受けました。
結果は、62点。
下がりました。
勉強時間は160時間を超えていたのに、点数はむしろ後退しました。
これは、かなり堪えました。
普通、勉強時間が増えれば点数も上がると思うじゃないですか。
でも、上がらない。
むしろ下がる。
ここでようやく、私は自分の勉強法を疑い始めました。
スマホ学習が悪いわけではありません。
動画学習が悪いわけでもありません。
でも、簿記のように、全体の構造を見ながら数字を処理する試験では、動画を見ているだけでは足りませんでした。
理解したつもりでは、本番で点にならない。
この当たり前のことを、私は3回目でやっと痛感しました。
そして4回目。
2025年の後半に、CPAラーニング(無料で簿記などを学べるオンライン学習サービス)を使って、もう一度やり直しました。
この日は、これまでとは少し違いました。
第1問の仕訳が、今までで一番スムーズに解けた。
苦手だった第2問も、前より対応できた。
第3問では数字がぴったり合わないところもありましたが、それでも前よりは戦えている感覚がありました。
結果は、81点。
ようやく合格でした。
うれしいというより、まずホッとしました。
「やっと終わった……」
それが一番正直な気持ちでした。
合格して思った。簿記3級は普通に難しい
合格して最初に思ったのは、きれいな感動ではありませんでした。
本音はこれです。
「簿記3級、世間で言われているより普通に難しいやろ」
もちろん、向いている人はいると思います。
数字に抵抗がない人。
手を動かして問題を解くのが苦にならない人。
電卓を使いながら、コツコツ処理するのが得意な人。
そういう人にとっては、そこまで苦戦しない試験なのかもしれません。
でも、私にとっては違いました。
宅建や社労士とは、まったく別の種類のしんどさがありました。
暗記だけではどうにもならない。
理解したつもりでも点につながらない。
しかも「3級」という名前のせいで、どこかで軽く見てしまう。
このギャップが本当にきつかったです。
簿記3級が悪い資格だと言いたいわけではありません。
むしろ、お金の流れや会社の数字を知るうえで、とても役立つ資格だと思います。
ただ、私にはかなり難しかった。
それだけです。
そして、この**「私には」**という感覚が、意外と大事なんだと思います。
世間の評価では簡単。
でも、自分には難しい。
それは別に、おかしなことではありません。
「簡単な資格」なんて人によって違う
この失敗談を通じて、私がいちばん伝えたいことがあります。
それは、人には向き不向きがあるという、ごく当たり前のことを、ちゃんと受け入れるのは意外と難しいということです。
世の中には、**「努力すれば何でもできる」**という言い方があります。
もちろん、それに救われる場面もあると思います。
努力しない理由を探すより、まずやってみることが大事な場面もあります。
でも現実には、努力してもなお、しんどいものはしんどいです。
人より時間がかかることもある。
どうしても噛み合わない分野だってある。
同じ時間をかけても、すっと伸びる人と、なかなか伸びない人がいる。
私はたぶん、簿記がそうでした。
もし最初に目指した資格が、宅建や社労士ではなく簿記だったら。
たぶん3級の時点で挫折していたと思います。
そして、**「自分は資格勉強に向いていないんだ」**と思い込んで、全部やめていたかもしれません。
でも実際は違いました。
私には私なりに向いている分野があって、たまたま先にそちらに出会えた。
だから続けてこられた。
簿記3級での大苦戦は、逆にその事実をはっきり教えてくれました。
資格の世界にいると、**「そんな資格は意味がない」とか「それ簡単やろ」**とか、平気で言う人がいます。
でも、私はあまりそういう言葉を信じていません。
なぜなら、同じ資格でも、人によって意味がまったく違うからです。
ある人にとっては通過点でも、別の人にとっては大きな挑戦かもしれない。
ある人には簡単でも、別の人には何度倒されてもおかしくない壁かもしれない。
簿記3級は、世間では比較的やさしい資格として語られることも多いです。
でも、私にとっては全然そんなことはありませんでした。
3回落ちて、190時間かけて、ようやく届いた資格です。
だから私はもう、簡単に**「この資格は簡単」**とは言えません。
その人にとっての難しさは、その人にしかわからないからです。
向き不向きで、人の価値は決まらない
簿記3級で苦戦して、もう一つ思ったことがあります。
それは、向き不向きで人の価値は決まらないということです。
これは資格だけの話ではありません。
仕事でも、似たようなことがあると思います。
会社の中にいると、どうしても肩書きで人を見てしまうことがあります。
役職がある人。
管理職の人。
専門職の人。
社長。
士業。
難しい資格を持っている人。
いわゆる「いい仕事」をしている人。
そういう人を見ると、なんとなく「すごい人」に見えます。
もちろん、実際にすごい努力をしてきた人も多いと思います。
責任の重い仕事をしている人もいると思います。
そこを軽く見るつもりはありません。
でも、それだけで人の価値が決まるわけではありません。
社長だから偉い。
士業だから偉い。
難しい資格を持っているから偉い。
現場仕事だから下。
簡単と言われる資格で苦戦したから下。
そんな単純な話ではないと思うんです。
人には、それぞれ向いている場所があります。
数字を扱うのが得意な人。
人と話すのが得意な人。
現場で体を動かすのが得意な人。
細かい手続きを正確に進めるのが得意な人。
人の気持ちをくみ取るのが得意な人。
長い文章を読んで理解するのが得意な人。
どれが上で、どれが下という話ではありません。
ただ、合う場所が違うだけです。
私は簿記3級で、自分が数字を処理するタイプの勉強にあまり向いていないことを思い知りました。
でも、それで自分の価値が下がったわけではありません。
逆に、宅建や社労士のように、文章を読んで制度を理解する勉強は、自分にはまだ合っていました。
だから続けられた。
つまり、自分がダメだったのではなく、合う場所と合わない場所があったということです。
これは、仕事でも人生でも同じなのかもしれません。
ある場所でうまくいかないからといって、その人がダメなわけではない。
ただ、その場所が合っていないだけかもしれない。
その人の力が出る場所は、別にあるのかもしれない。
簿記3級で3回落ちたことは、そんなことを考えるきっかけになりました。
簿記3級で落ちても、自分を否定しなくていい
簿記3級に落ちると、けっこう落ち込みます。
なぜなら、世間では「簡単」と言われがちだからです。
「3級で落ちる自分って何なんやろ」
「みんな簡単って言ってるのに、自分だけできないのか」
「資格勉強に向いていないのかな」
そう考えてしまう人もいると思います。
私もそうでした。
でも今なら思います。
簿記3級で落ちたからといって、自分がダメなわけではありません。
資格勉強そのものに向いていないとも限りません。
ただ、その資格の性質と、自分の得意不得意が合っていなかっただけかもしれません。
もちろん、勉強不足や準備不足は反省する必要があります。
私も、もっと早く電卓に慣れるべきでした。
もっと早く問題演習を増やすべきでした。
動画を見て満足するのではなく、自分で解く時間を増やすべきでした。
そこは反省しています。
でも、それでもなお思います。
苦戦したからといって、自分がダメなわけではない。
向いていないことがあるのは、普通のことです。
おわりに
本音を言えば、これに尽きます。
最初の資格試験で、簿記を選ばなくて本当によかった。
もし最初が簿記だったら、たぶん私は資格勉強そのものを嫌いになっていたと思います。
「自分はダメや」
「資格なんて自分には無理や」
そう思って、全部やめていたかもしれません。
でも実際には、私には私なりに向いている分野がありました。
宅建や社労士のように、文章を読んで制度を理解し、知識を積み上げていく勉強の方が、まだ自分には合っていました。
たまたま先に、自分に合う資格に出会えた。
だから続けてこられた。
簿記3級での大苦戦は、逆にそのことを教えてくれました。
簡単と言われる資格が、自分にも簡単とは限りません。
難しいと言われる資格でも、自分に合えば戦えることもあります。
そして、向いている場所が違うからといって、人の価値が決まるわけでもありません。
資格も、仕事も、肩書きも、たしかに一つの目安にはなります。
でも、それだけで人を測るのは、少し乱暴です。
簿記3級に3回落ちたこと。
190時間かかったこと。
どちらも、きれいな成功談ではありません。
情けないし、かっこ悪いし、できればもっとスマートに受かりたかったです。
でも、これはこれで自分らしい記録だったのかなと思っています。
あの190時間は、合格するためだけの時間ではありませんでした。
自分には何が向いていて、何が苦手なのか。
世間の「簡単」という言葉を、そのまま自分に当てはめなくてもいいこと。
肩書きや仕事の種類だけで、人の価値を決めなくていいこと。
そういうことを知る時間でもありました。
簿記3級は、私にとって簡単な資格ではありませんでした。
でも、あの遠回りには意味があったと思います。
向き不向きで、人の価値は決まらない。
簿記3級に3回落ちた私は、今は本当にそう思っています。
参考情報
この記事では、私自身の簿記3級受験体験をもとに書いています。
日商簿記3級の試験時間は60分、合格基準は70%以上です。
また、ネット試験とペーパー試験は、出題範囲・難易度・合格基準が同じとされています。
試験内容や申込方法、実施方式は変更される可能性があるため、最新情報は必ず日本商工会議所・各地商工会議所などの公式サイトで確認してください。
