はじめに
賃貸不動産経営管理士は、ネットで調べると「意味ない」と言われることがあります。
たしかに、そう言われる理由も分かります。
現時点では、宅建士の重要事項説明のような、分かりやすい独占業務がありません。
宅建士や管理業務主任者と比べると、
「この資格がないとできない仕事」
が見えにくい資格です。
そのため、
「宅建があれば十分では?」
「独占業務がないなら弱いのでは?」
「わざわざ取る意味あるの?」
と思う人もいると思います。
ただ、私は賃貸不動産経営管理士を「意味ない資格」と切り捨てるのは、かなり早いと思っています。
むしろ、私はこの資格にかなり将来性があると思っています。
理由は、賃貸住宅の管理という仕事の重要性が、これからさらに上がる可能性があるからです。
人口減少。
単身世帯の増加。
高齢者の入居。
空き家の活用。
サブリース契約。
オーナー対応。
入居者トラブル。
建物の老朽化。
こういう問題は、今後もなくならないと思います。
むしろ、賃貸管理の現場は、これからもっと複雑になっていく可能性があります。
そう考えると、賃貸管理を専門的に学ぶ賃貸不動産経営管理士は、決して「意味ない資格」ではありません。
この記事では、賃貸不動産経営管理士がなぜ意味ないと言われるのか、そしてなぜ私は将来性がある資格だと思っているのかを、合格率や宅建との比較、制度面も含めて整理します。
賃貸不動産経営管理士はなぜ意味ないと言われるのか
賃貸不動産経営管理士が「意味ない」と言われる一番大きな理由は、やはり独占業務の分かりにくさです。
宅建士であれば、不動産取引における重要事項説明があります。
管理業務主任者であれば、マンション管理業に関する重要事項説明などがあります。
こういう資格は、
「この資格がないとできない仕事がある」
という点が分かりやすいです。
一方で、賃貸不動産経営管理士は、現時点では宅建士ほど分かりやすい独占業務がありません。
そのため、
「宅建士でよくない?」
「管理業務主任者の方が強くない?」
「独占業務がないなら取る意味が薄いのでは?」
と言われやすいのだと思います。
この見方は、完全に間違いではありません。
独占業務だけで資格の強さを見るなら、宅建士や管理業務主任者の方が分かりやすいです。
ただ、資格の価値は独占業務だけでは決まりません。
特に賃貸不動産経営管理士は、今すでに完成しきった資格というより、制度の中でこれから位置づけが強くなっていく可能性がある資格だと思っています。
ここを見ないまま、
「独占業務がないから意味ない」
で終わらせるのは、少しもったいないです。
それでも将来性があると思う理由
私が賃貸不動産経営管理士に将来性を感じている理由は、賃貸管理の重要性が下がるとは思えないからです。
不動産というと、どうしても売買や仲介のイメージが強いです。
宅建が有名なのも、そのあたりが大きいと思います。
でも、実際には不動産は「売ったら終わり」「貸したら終わり」ではありません。
入居者がいます。
家賃管理があります。
設備トラブルがあります。
退去時の原状回復があります。
オーナー対応があります。
サブリース契約があります。
高齢者や外国人入居者への対応もあります。
建物は年数が経てば古くなります。
空き家や相続した物件の活用も、今後さらに問題になっていくと思います。
こうした問題を考えると、賃貸管理は今後ますます専門性が求められる分野になる可能性があります。
その中で、賃貸住宅の管理に特化して学ぶ賃貸不動産経営管理士は、かなり意味のある資格だと思います。
「今すぐ独占業務があるか」
だけで見ると、弱く見えるかもしれません。
でも、
「これからどの分野の知識が必要とされるか」
で見ると、賃貸不動産経営管理士はかなり面白い資格です。
私は、この資格は今後じわじわ価値が上がっていく可能性があると思っています。
試験概要も確認しておく
賃貸不動産経営管理士試験は、年1回実施される試験です。
令和8年度、つまり2026年度の試験は、2026年11月15日(日)13時から15時まで実施予定です。
試験時間は120分、出題形式は四肢択一式で50問、受験料は12,000円です。
申込期間は2026年8月3日(月)から9月30日(水)までとされています。
試験としては、年1回しかありません。
簿記のように何度も受けられるタイプではありません。
受験料も12,000円なので、決して安い試験ではありません。
「とりあえず受けてみる」というより、その年の試験日に合わせてある程度しっかり準備する必要があります。
宅建との比較・直近5年の合格率を見る
受験者数31,792人
合格者数9,370人
合格率29.5%
合格基準38点
受験者数245,462人
合格者数45,821人
合格率18.7%
合格基準33点
受験者数30,194人
合格者数7,282人
合格率24.1%
合格基準35点
受験者数241,436人
合格者数44,992人
合格率18.6%
合格基準37点
受験者数28,299人
合格者数7,894人
合格率27.9%
合格基準36点
受験者数233,276人
合格者数40,025人
合格率17.2%
合格基準36点
受験者数31,687人
合格者数8,774人
合格率27.7%
合格基準34点
受験者数226,048人
合格者数38,525人
合格率17.0%
合格基準36点
受験者数32,459人
合格者数10,240人
合格率31.5%
合格基準40点
受験者数234,714人
合格者数41,471人
合格率17.7%
合格基準34点
直近5年分を見ると、宅建の合格率はおおむね17〜18%台で推移しています。
一方、賃貸不動産経営管理士は24〜31%台で推移しています。
数字だけを見ると、宅建の方が難しく、賃貸不動産経営管理士の方が合格しやすいように見えます。
実際、宅建は受験者数の規模がかなり大きいです。
令和7年度、つまり2025年度の宅建試験は、受験者数245,462人、合格者数45,821人、合格率18.7%でした。
一方、令和7年度の賃貸不動産経営管理士試験は、合格者数9,370名、合格率29.5%、合格基準は50問中38問以上でした。
合格率だけを見ると、
「宅建よりは簡単そう」
と思うかもしれません。
ただし、ここで終わるとかなり浅いです。
見るべきなのは、受験者層と合格基準です。
合格率だけで簡単と見るのは危ない
賃貸不動産経営管理士は、合格率だけを見ると宅建より簡単そうに見えます。
しかし、受験者層を考える必要があります。
宅建は、不動産業界の人だけでなく、学生、会社員、金融、建設、資格初心者など、かなり幅広い人が受ける資格です。
一方で、賃貸不動産経営管理士は、宅建のあとに受ける人や、不動産業界で働いている人、管理業務主任者やマンション管理士など管理系資格を勉強している人も多いと考えられます。
つまり、完全な初学者が大量に受ける試験というより、すでに不動産の勉強をしてきた人が受けやすい試験です。
その中で、合格率が20〜30%台。
ここを見ると、決して「簡単な資格」とは言い切れません。
さらに、合格点も高めです。
2025年度の賃貸不動産経営管理士試験は、50問中38問以上が合格基準でした。
38点ということは、76%以上の正答が必要です。
2021年度には、私が受けたときと同じく、合格点が40点でした。
50問中40点。
つまり8割です。
これは普通に高いです。
合格率だけを見ると、
「宅建より簡単そう」
と思うかもしれません。
でも、受験者層がある程度強く、その中で高得点を取らないといけない。
この点を考えると、賃貸不動産経営管理士は、知名度のわりに油断できない試験です。
むしろ私は、これくらいの難易度になってきたからこそ、資格としての価値も上がっていく可能性があると思っています。
簡単すぎる資格なら、どうしても評価は上がりにくいです。
でも、制度上の位置づけがあり、試験もある程度の難易度になってきている。
この流れは、賃貸不動産経営管理士にとって悪い話ばかりではないと思います。
宅建よりもマンション管理士・管理業務主任者の知識が生きた
私自身も、賃貸不動産経営管理士に合格しています。
点数は44点でした。
合格点は40点でした。
ただし、賃貸不動産経営管理士だけを単体でガッツリ勉強したわけではありません。
宅建の知識ももちろん役に立ちました。
ただ、体感としては、宅建よりもマンション管理士・管理業務主任者の勉強がかなり生きました。
理由は、賃貸不動産経営管理士が「管理寄り」の資格だからです。
宅建は、不動産取引の資格です。
一方で、マンション管理士や管理業務主任者は、建物管理、設備、管理会社の役割、契約、トラブル対応などを学びます。
この管理系の知識が、賃貸不動産経営管理士の内容とかなりつながりました。
なので、私の感覚では、賃貸不動産経営管理士は宅建の延長というより、管理系資格の延長に近いです。
もちろん、宅建の知識も役立ちます。
ただ、管理業務主任者やマンション管理士の勉強をしていた人の方が、内容は入りやすいかもしれません。
ここで言いたいのは、
「自分はあまり勉強しなくても受かった」
という話ではありません。
むしろ逆です。
他の不動産資格、特に管理系資格の勉強をしていたから入りやすかっただけです。
賃貸不動産経営管理士単体で見れば、今はかなり油断できない資格になっていると思います。
棚田行政書士さんも賃貸不動産経営管理士に注目している
この資格に将来性を感じる理由の一つに、不動産資格に詳しい人が注目していることもあります。
たとえば、棚田行政書士さんは、宅建だけでなく賃貸不動産経営管理士についても発信されています。
棚田行政書士さんは、不動産資格系のYouTubeをされている方の中でかなり有名で、実際に不動産業界でも実績があり不動産業界についてもかなり詳しい方です。
宅建受験生への配信もかなりされていて、わかりやすい覚えやすい動画内容が人気を呼んでいます。
もちろん、誰かがすすめているから絶対に価値がある、という話ではありません。
でも、不動産資格に詳しい人が、宅建だけではなく賃貸不動産経営管理士にも力を入れている。
これは、資格の将来性を考えるうえで一つの材料になると思います。
宅建と業務内容がつながっている。
賃貸管理という実務に関係している。
国家資格化されて注目度が上がった。
こうした流れを見ると、賃貸不動産経営管理士は、今後さらに存在感が出てくる資格だと思います。
独占業務はまだない。でも制度の中には入っている
賃貸不動産経営管理士は、現時点で宅建士のような分かりやすい独占業務がある資格ではありません。
ここは冷静に見る必要があります。
ただし、制度の外にある資格でもありません。
国土交通省の賃貸住宅管理業法ポータルサイトでは、賃貸住宅管理業者は営業所または事務所ごとに、業務管理者を1名以上配置しなければならないとされています。業務管理者の要件には、管理業務に関する2年以上の実務経験などに加えて、登録試験に合格した者、または宅建士+指定講習修了者というルートがあります。
つまり現在は、
賃貸不動産経営管理士ルート。
宅建士+指定講習ルート。
この2つがあるわけです。
ここを見ると、まだ賃貸不動産経営管理士だけの独占ではありません。
ただ、賃貸管理の専門資格として、すでに制度の中に入っていることは大きいです。
完全な民間資格のように、実務制度と切り離されているわけではありません。
賃貸住宅管理業法の中で、業務管理者制度と関係している資格です。
ここが、賃貸不動産経営管理士の将来性を見るうえで重要だと思います。
今後、独占業務ができる可能性はあるのか
現時点で、
「賃貸不動産経営管理士に独占業務ができる」
と正式に決まっているわけではありません。
ここは断定できません。
ただし、業界団体が独占業務化を求めている動きはあります。
また、今後、業務管理者要件をどうしていくかという論点もあります。
現在の制度では、業務管理者になるルートとして、賃貸不動産経営管理士ルートと、宅建士+指定講習ルートがあります。
これが将来的にどうなるのかは、まだ分かりません。
小規模事業者への影響もあるため、急に一本化するのは簡単ではないと思います。
ただ、賃貸住宅管理の専門性がより重視される方向に進めば、賃貸不動産経営管理士の制度上の位置づけが今より強くなる可能性はあります。
だから、現実的にはこう見るのがいいと思います。
今すぐ独占業務がある資格ではない。
でも、将来的に制度上の価値が上がる可能性はある。
このくらいの温度感が、一番正確だと思います。
そして私は、この「将来的に価値が上がる可能性がある」という部分に、かなり期待しています。
賃貸不動産経営管理士を取る価値がある人
賃貸不動産経営管理士を取る価値があるのは、次のような人です。
宅建に合格して、次の不動産資格を探している人。
宅建受験後に、知識を横展開したい人。
管理業務主任者やマンション管理士を勉強している人。
不動産業界で働いている人。
賃貸管理会社、管理部門、オーナー対応に関わる人。
将来的に不動産資格を複数持っておきたい人。
特に、宅建だけでなく、管理業務主任者やマンション管理士の勉強経験がある人とは相性がいいです。
賃貸不動産経営管理士は、取引よりも管理寄りの資格だからです。
逆に、不動産業界にまったく興味がない人、独占業務がある資格だけを取りたい人、資格だけで一発逆転したい人には、優先度はそこまで高くないと思います。
この資格は、単体で人生を変える資格というより、不動産管理の知識を広げる資格です。
ただし、その「管理の知識」が、今後かなり重要になっていく可能性があります。
だから私は、賃貸不動産経営管理士は今後意味が出てくる資格だと思っています。
まとめ
賃貸不動産経営管理士は意味ない資格なのか。
私は、そうは思いません。
たしかに、現時点では宅建士のような分かりやすい独占業務はありません。
だから、独占業務だけで資格を見れば、宅建士や管理業務主任者より弱く見える部分はあります。
でも、賃貸管理という仕事の重要性は、これから下がるとは思えません。
むしろ、高齢化、単身世帯の増加、空き家、サブリース、入居者対応、建物管理などを考えると、賃貸管理の専門性は今後さらに求められる可能性があります。
そして、賃貸不動産経営管理士は、すでに賃貸住宅管理業法の中で業務管理者制度に関わる資格です。
今後、制度上の位置づけが強くなる可能性もあります。
さらに、合格率や合格基準を見ても、昔のように軽く見ていい資格ではなくなってきています。
2025年度の合格基準は50問中38点。
合格率だけを見ると宅建より高く見えますが、受験者層や合格点を考えると、油断できる試験ではありません。
私自身も、賃貸不動産経営管理士はかなり未来がある資格だと思っています。
「独占業務がないから意味ない」
で切り捨てるには早いです。
むしろ、宅建や管理業務主任者、マンション管理士と組み合わせることで、今後かなり意味が出てくる資格だと思います。
結論としては、
賃貸不動産経営管理士は、今すぐ派手に評価される資格ではない。
でも、賃貸管理の重要性や制度の流れを考えると、将来性はかなりある。
意味ないどころか、今後の不動産資格の中で注目しておきたい資格だと思う。
私はそう考えています。
参考情報
この記事では、以下の公表情報を参考にしています。
試験日程・受験料・合格率・制度内容は変更される可能性があります。
最新情報は必ず各公式サイトで確認してください。
